民事裁判を行う前に交通事故被害者が心得ておくべきこと、最良の解決策とは

民事裁判を行う前に交通事故被害者が心得ておくべきこと、最良の解決策とは


交通事故は日常生活の中で誰もが遭遇する可能性のある悲劇です。損害を被った場合に相手方に補償を求める権利があることは、法律の専門家でなくとも分かるでしょう。裁判の様子も映画などのフィクションを通してある程度は知っているはずです。しかし、いざ民事裁判で争うことになった際に、優位に進める方法や最良の選択について知る人は少ないでしょう。ここでは交通事故被害者が事前に把握しておくべき知識を紹介していきます。

交通事故に遭ってしまった、先ずはどうする?

交通事故に遭ってしまったら、先ずは保険会社を介して示談交渉をすることになります。これもある意味「和解」の一種ではありますが、そこで問題が解決することは稀であり、実際には両者の主張が食い違い、事故責任の所在を互いに向けることで話し合いが進展しないという事態になることも十分考えられます。交渉が決裂してしまった以上は、示談で解決するのは難しいでしょう。

また、被害者が受けた損害が大きいほどに、加害者に求める賠償責任も増してくるため、保険会社との話し合いだけで事態を収拾させることは難しくなってしまいます。つまり、最終的には裁判所という第三者機関を交えることで、両者の主張をぶつけ合うことになるのです。ここまではほとんどの人が予想通りの展開と言えるかもしれませんが、問題はこのあとにあります。必要な補償を受けるためには、先ずは目指すべきゴールの設定が大切です。具体的に言えば、被害者側であるあなたもある程度妥協することで、相手に譲歩を促して「和解」に持ち込むのか、或いは勝訴を勝ち取って全面的に要求を果たしてもらうのか、いずれの場合であっても、被った被害を最大限補償してもらうことが目的であることは変わりません。

しかし、ゴール設定があやふやなまま手続きを進めてしまうと、途中で判断を誤り、最終的には思っていた通りの補償を受けることができず、損失だけが残ってしまう可能性もあるのです。もし、示談交渉が決裂してしまっても、できるだけ「和解」で解決していきたいという場合には「調停による和解」を目指すという手段もあります。それでも解決が難しいようであれば、いよいよ民事裁判で争うことになるのです。いずれの方法であっても和解を目指すのか、それとも勝訴を勝ち取りたいのか、こちらが持つ証拠をよく検証した上で、有利な方向に舵を取って行く必要があります。

交通事故訴訟を起こす前に落とし所を見極めておこう

交通事故被害に遭った後には、示談交渉や調停による「和解」に進み、それでも解決が難しいと感じた場合には、遂に民事裁判という手段を取ることになります。ここまできてしまうと、もう後には退けないのではないか、相手と和解することが不可能なのではと考える人もいるでしょう。

しかし、裁判で争う事態になったとしても、必ずしも勝訴を目指さなければいけないというわけではありません。意外かも知れませんが、交通事故裁判においては、裁判所の和解勧告によって終了するケースが、判決による解決よりも多いという統計データが出ているのです。それでも可能な限りこちらの要求を聞いてもらいたいというのが被害者側の心情であることは理解できます。その場合には、裁判が長期化することや、最悪、求めていた請求を下回る補償に留まる可能性があることも覚悟しなければなりません。そうしたリスクを理解した上で100%自身の要求を叶えたいのであれば、裁判所から提案された和解案を拒み続けて判決を待つことになるでしょう。

もちろん、裁判官はどちらか一方の味方をすることはなく、終始中立の立場であるため、どのような結果に転ぶことになるかは分かりません。裁判所が出す和解案は交通事故訴訟においては重要な位置づけであることをよく理解した上で、公判中も常に最良の選択肢を見落とさないようにしてください。裁判と聞くと、どうしても勝訴にこだわりがちですが、交通事故訴訟は例外なのです。

ここまで訴訟ありきで話してきましたが、もし、初期段階で示談に持ち込めるようであれば、そのチャンスを見逃さないでください。特に加害者が社会的地位を持つ者であり、事を荒立てたくない場合には「裁判外の和解」を通して解決を図る可能性も出てきます。その際には、保険会社との間で作成する示談書と同様の効力を持つ「合意書(和解書)」を作成することになります。加害者にとって不都合があっての「裁判外の和解」であるため、裁判中の和解よりも有利な条件を引き出せる可能性があります。これについては争っている相手次第で臨機に判断することが求められます。

和解を進める理由とは?勝訴を勝ち取るのは意外と難しい

交通事故裁判で和解を勧める理由は、必ずしも勝訴が被害者の要求を満たす結果になるとは限らないからです。それは、本人訴訟であっても弁護士を立てた上での訴訟であっても同様です。事故状況や証拠からして、余程有利な場合や、或いは何らかの事情により勝訴を目指さなければ加害者側から補償額を引き出せないという状況下でもない限りは、弁護士も和解ありきで訴訟を進める可能性があります。それというのは、既に数値として結果が表れていることが原因でもあるのです。

参考までに、民事裁判における和解率は35~50%程度と言われています。決して低くない数値であることが分かるでしょう。これを交通事故訴訟に絞り込むと更に数値は高くなり、凡そ75%が和解で解決していることになるのです。判決を受けて解決した例は僅か20%程度とされていることからも、和解こそが交通事故訴訟の一般的な解決策であることが分かるでしょう。判決により解決した20%が、要求を満たせたかどうかは疑問なところです。特に本人訴訟では専門家である弁護士の見解を受けることができないため、100%こちらの要求を通そうとするあまり、優位な条件での和解案を見逃してしまうことがあるのです。

和解に応じていれば損害賠償が取れたのに、判決では敗訴してしまい、結果として何も得ることができなかったという結末は避けたいものです。意外と、あとから冷静になって考えてみると、原告側の方が不利だったことが分かることもあります。裁判官は公判中にも和解を勧めてきますので、口頭弁論の進み具合からその都度和解に応じるべきかどうかを判断していかなければなりません。

裁判上の和解こそが最良の解決策と言えるのか?

これについては、相手から受ける補償が被害者の被った損害に見合うかどうか、事件ごとの判断になります。ただ一つ言えることは、いたずらに裁判を長期化させた挙句、敗訴してしまうリスクを避けられるという利点があることは確かです。また、交通事故における和解案は、先の見通しが立て易いことも特徴なのです。裁判を通して話し合うことにより、争点が整理されます。そして十分な証拠も出揃ったところで、裁判所が和解勧告を行うのです。裁判官は、被害者の受けた損害項目ごとに金額とその根拠を示してくれるため、原告、被告の両者ともに納得できる和解案が提示されるため、100%ではないとしても、現状、最良と思われる解決方法を示してくれるのです。

交通事故の訴訟では、ある程度の損害算定基準が定められているため、どちらか一方が有利になることはないものの、被害者の救済が可能な補償額を提案できると言われています。過去の事例を弁護士は把握しているため見通しが示し易く、予想を裏切られる結果になることが少ないため、多くの場合には裁判所の和解勧告を受けて終結する形となります。他にも、判決よりも早期に解決できるというメリットもあるため、損害の補償を急いでいる被害者にとっては有益な方法であると言えます。

もちろん、良い点ばかりではありません。判決による解決で受け取れる年5%の遅延損害金を受け取れないことは抑えておいてください。さらに、判決によって解決した場合であれば、裁判所が認容した1割程が、被害者の弁護士費用として支払うよう加害者に命じられますが、和解では弁護士費用は全額自分で支払うことになるのです。このような注意点はありますが、それを差し引いたとしても少なくない補償が受けられることは、過去に和解での解決が多いことからも分かるでしょう。

交通事故裁判では確実な補償を受けることが大切

和解が100%被害者の要求通りではなかったとしても、必要な補償を確実に受けられる最良の手段であることは、理解できたのではないでしょうか。実際、和解金の方が加害者側も納得した金額であるため、滞りなく支払ってもらえるというメリットもあるのです。逆に判決の場合には加害者の納得した金額ではなく、また、資力も考慮されていないため、支払いが滞る可能性があります。正しいゴール設定で確実な補償を受けましょう。

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