子供の交通事故後遺障害における慰謝料の考え方

子供の交通事故後遺障害における慰謝料の考え方

子供が交通事故

子供が交通事故に遭遇し完全に回復することが叶わず、交通事故後遺障害が残ってしまった場合、大人との違いはあるのでしょうか。大人と違って休業することは観念できないものの将来への長期的影響の懸念がある点や、通院にあたっても付き添いなどが必然的に必要になる等特有の事情が存在します。

このような差異が慰謝料などの額に反映されるようなことがあるのか、年少者ならではの交通事故を巡る損害賠償について、考察して参りましょう。

息子や娘が交通事故に遭遇すればとりあえず、後遺症が残ることの無いように家族一丸になって、療養に取り組むことになりますが、後日の加害者側の保険会社の提示額が想定以上に低いことに驚かれる経験をした方もいるほどです。家族の心配は考えられないものがありますが、その辺りの事情が反映されていない点に、この問題の難しいところがあります。

実は保険会社の提示する交通事故後遺障害についての賠償額は、大人とほぼ同じ基準で提示されており、年初者だからといってあえて低い額を出しているわけでもありません。ただし年少者では通院の為には中学生くらいの年齢までは、通常保護者の付き添えが必要なので、付き添え費が別枠で支払われることがあるようです。

相場は1日あたり3300円ほどで、中学生以上になると一人でも通院することが可能になりますが、状態によっては付き添いが不可欠になる場合もあるので、事態に応じて変動する部分もあります。なお、通院慰謝料も大人と同様通院期間によって決まることになります。

ただしこれらは原則論で子供特有の事情が賠償額を上げる可能性があります。年少者が後遺障害をおった場合、懊悩期間は、例えば70代の高齢者に比べれば明らかに長期間になるのは明白で精神的苦痛も大きくなることが予想されます。しかし残念ながら現在の裁判実務で採用されている後遺障害認定等級に相当する賠償額の算定に当たっては被害者の年齢を考慮に入れた運用がされているわけではありません。

とは言っても、余命10年の老人と平均余命60年以上に渡って後遺障害を抱えながら生活を余儀なくされる場合を比較すると、実に6倍もの期間の開きが見られます。そこでなかには20歳未満での被害者の後遺障害慰謝料額を増額する提案を行っている弁護士会もあるほどです。

娘や息子に重大な後遺障害が残ってしまった場合

また娘や息子に重大な後遺障害が残ってしまった場合、両親にはこの先の健やかに成長する様を目に出来ないことによる精神的被害は相当なものです。このような事情が反映されて現在の裁判実務では障害等級1-5級と認定された場合には親の固有の慰謝料が認められる傾向にあります。

これは裁判実務において被害者の年齢を顧慮しない運用がされていることを補完するべく、他の家族の固有の損害賠償の幅を広げることでバランスを取ろうとする裁判所の姿勢を見ることができる訳です。

また子供特有の事情として、後遺障害が残った場合には将来の夢を断念せざるを得なくなったり、希望する職種に就業できないなどの将来の事由が存在します。あるいはこれほど深刻な事態でなくても、後遺障害の治療のために長期間の休学や留年などで受験への悪影響なども想定されるところです。顔の要望などに著しい変化が見られると、将来の結婚相手を見つけることにも支障を及ぼしかねません。

このような子供特有の事情は個別の裁判で主張されても、慰謝料に反映されることは、あまり期待できないのが現状です。比較的問題になるのは、学習の遅れを取り戻すために家庭教師を雇ったときの費用負担の問題です。これを認めた裁判例もありますが、請求の成否を分けるのは休業期間の長さや通院頻度などに勘案して損害賠償に含めることが妥当か否かの判断によります。

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